作業療法士toshiの就労支援

作業療法士であるtoshiが就労支援についての情報を定期的に発信します。

両立支援コーディネーターに求められる医療知識(脳卒中分野)

こんにちは、作業療法士のtoshiです。


本日は、「両立支援コーディネーターに求められる医療知識(脳卒中分野)」についてまとめてみます。



両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となります。


その理由は、
典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するため

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳)は両立支援の基本となるからです。


1,脳卒中とは
2,治療と経過
3,両立支援の留意点

f:id:Mazu07:20210411173614p:plain
1,脳卒中とは


1)病理

脳卒中とは、「脳に突然(卒)あたる(中)」という意味で、
脳血管疾患ともいわれています。


病型は大きく3つに分けられます。
・脳血管が詰まる→脳梗塞
・脳血管が破れる→頭出血。
・脳血管のコブ(脳動脈瘤)→クモ膜下出血
f:id:Mazu07:20210411142429p:plain

2)疫学

脳卒中は昔に比べて死因順位は下がっているが、患者数は多い。
厚生労働省平成26年患者調査」によると117.9万人(男性59.2万人女性58.7万人)と推計され、そのうち約14%(16.7万人)が就労世代(15~64歳)に相当します。

基本的に動脈硬化が進行する50歳代以降に急増する疾患であり、今後就労年齢の引き上げに伴い、両立支援の対象者が増加することが予想されています。


日本脳卒中データバンク(2019年度)によると、病型別に見た患者割合は脳梗塞が最も多く75.9%を占め、次いで脳出血18.5%、クモ膜下出血5.6%という頻度となっています。
f:id:Mazu07:20210411174721p:plain


3)症状


典型的なものは、突然起こる以下の3症状です。
①片方の手足・顔面半分の麻痺や痺れ。
②呂律が回らない、言葉が出ない、
 他人の言ったことが理解できない。
③片方の目が見えない、物が二重に見える、視野半分が欠ける。

これに加えて脳卒中を考えるべき症状としては、

④力はあるのに歩けない、フラつく。
⑤今までにない激しい頭痛。
意識障害
f:id:Mazu07:20210411144405p:plain
このような症状があれば病院受診をすべきで、救急車の利用もためらうべきではありません。


脳卒中という病名でも症状は様々で原因となった病態の違いにより脳のどの部位がどの程度損傷されたかで決定します。




2,治療と経過

治療
脳梗塞では発症から4.5時間以内であればt-PA静注療法(点滴)で血栓溶解薬を投与する治療
f:id:Mazu07:20210411145713p:plain

6時間以内に血管内カテーテル治療(血管内にカテーテルを入れて血栓回収する血管内治療)の適応がある場合もあります。
f:id:Mazu07:20210411145800p:plain

脳出血で脳内に出血した血液の塊が大きい場合、周囲の脳組織が圧迫され壊死することを防ぐために手術で血腫を取り除く場合があります。 


→開頭血腫除去術
f:id:Mazu07:20210411150029p:plain
 

内視鏡下血腫吸引術
f:id:Mazu07:20210411150045p:plain


クモ膜下出血では、破裂脳動脈瘤を手術で
直接的にクリップする方法

クリッピング
f:id:Mazu07:20210411150819p:plain

血管内カテーテルで脳動脈瘤内に
特殊な金属コイルを詰める方法

→コイル塞栓術
f:id:Mazu07:20210411150848p:plain
などで治療される場合が多い。


いずれの病型でも治療でもなるべく早い時期からリハビリテーションを併せて行うことが推奨されており、状態が落ち着くに従って活動量も増加していきます。


経過
軽症の場合は急性期治療を終えて直接自宅退院する場合がありますが、多くは回復期リハビリテーション病院へ転院します。

そして、この転院には期限が定められており回復期リハビリテーション病院へは発症から2か月以内6か月までに退院しなければなりません。


*入院期間が6か月までとされている根拠としては、脳卒中後の運動麻痺などの回復が6か月を経過すると機能改善が難しいというデータがあります。


しかし、


高次脳機能については年単位で改善が認められるという報告もあり、継続的なリハビリテーションが必要な患者にとっては制度上の支障となっています。
f:id:Mazu07:20210411160326p:plain
いずれにせよ回復期退院後も医療リハビリテーションを受けるためには制限があり、重症者にとっては十分なリハビリテーションを受けることが難しくなり、介護保険を利用するなどの工夫が必要となります。


さらに、


急性期・回復期・生活期という各時期を担う医療機関が同一地域にないことも多く、リハビリテーション資源が不十分な地域も多いのが実情です。


また、


転院することで主治医や医療スタッフも複数の医療機関が関与することになり、情報共有の難しさも生じます。


脳卒中の薬物治療はその基礎疾患である。高血圧、不整脈、糖尿病、脂質異常症などのコントロールが基本となります。

脳出血クモ膜下出血ではこれら以外に特異的な再発予防薬はありませんが、


脳梗塞は、病型によって予防薬があります。
抗血小板凝集薬、抗凝固薬、抗けいれん薬などが必要になる場合があります。


予後

脳卒中という一般には麻痺や言語障害などの重度障害が残存するイメージが強いですが、就労年齢における予後は比較的良好であり、約7割が日常生活上ほぼ介助を必要としない状態まで回復しています。
f:id:Mazu07:20210411155947p:plain
3,両立支援の留意点

1)障害に対する理解
脳卒中後の障害については、「目に見える障がい」「目に見えない障がい」があります。大きく分けて以下の3つのパターンがあります。

①手足の運動麻痺のように本人も周囲も分かる障害。
②感覚障害のように自覚はあるが周囲には分かりにくい障害。
認知障害のように周囲が何となく気づいているが理解し難く、
 かつ本人の自覚が乏しい障がい(高次脳機能障がい)。


②③は見落とさないように注意が必要です。
特に高次脳機能障害は症状が様々で周囲も理解しにくい場合があるので、本人や医療機関からの情報収集を行い、個人情報に十分留意しながら職場で共有することが望まれます。また、身体障害者手帳(肢体不自由)、精神障害者保健福祉手帳(高次脳機能障害)が社会参加に有用な場合があり手帳申請の検討もしておくべきでしょう。


2)医療機関での情報共有
病状と障害とを把握するためには、主治医や病棟看護師およびリハビリテーションスタッフなどの多職種と連携して情報収集を行い、本人からの情報と合わせて整理しておく必要があります。

治療内容やリハビリテーション内容、予後の見通し、補助具のこと等、支援する上でも復職診断書等も必要となります。


3)安全な通勤のための配慮
杖や車椅子を使用している場合、ラッシュ時の通勤は非常に困難を伴います。出退勤時間をずらすことや公共交通機関利用の通勤が実際に可能かどうかのチェック、エレベーター使用も考慮した通勤経路の見直しなどの支援も必要です。

特に都市部以外では自動車運転が必要な場合も多く、その際の自動車運転再開の手順も必要な支援の一つとなります。自動車運転再開の可否について、神経心理学的検査や実車評価が必要となります。またてんかん発作があった場合には、発作がない期間が2年間必要となるので再開時には注意を要します。


4)職場での配慮
職場における環境整備、作業内容の見直し、業務量の調整などは耐久性や適応能力を確認しながら行っていくという点で各疾患共通と思われますが、

脳卒中で特異的な点をいくつか挙げておきます。ふらつきがある場合は高所作業や移動しながらの作業などでは転倒・転落などの状況下で低温火傷も起こし得ます。

高次脳機能障害では見落とし手順を忘れるなどのトラブルが起こり得ます。

適切な配慮を行うためには、患者の機能評価と職場状況の把握がカギとなりますので、職業情報収集票と復職判断を行う時期での機能評価票の精度を高めておくことが重要です。

両立支援コーディネーターは患者本人とのやり取りだけでなく、是非ともリハビリテーション専門職との連携を深める必要があります。


また、


これらのサポートを職場の誰かに任せるとその人の業務が過度となる場合が多いため、支援側にも配慮が必要であることを職場に理解してもらうことが重要です。もちろん個人情報に関わることなので、本人ともよく話し合った上で可能な範囲で職場内の情報共有が出来ることが望ましい。


5)過度の配慮にも注意
周囲が気を使うあまりに、障がいに対する配慮が過剰となることも経験されます。もちろん無理を押して麻痺側を酷使すれば関節や筋肉を痛めてしまいます(過用症候群)。逆に人は自身の能力を使わないことで退化します。本人の能力を見ながら出来ることを伸ばしていき、ステップアップに繋がればモチベーションも高くなります。そのためには、職場の上司との意見交換ができる環境づくりが重要となることを職場に伝えておくべきです。
f:id:Mazu07:20210411173756p:plain
本日は、両立支援コーディネーターに求められる医療知識(脳卒中分野)についてまとめてみました。


両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となる理由は、

典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するためです。

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳両立支援の基本となるからです。

その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、
最適なサポートができるように学び続けます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。



≪参考図書≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 仕事の両立支援コーディネーターマニュアル

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト
www.johas.go.jp
www.research.johas.go.jp
脳卒中データバンク2019
http://strokedatabank.ncvc.go.jp/
・一般社団法人 日本脳卒中学会
www.jsts.gr.jp


mazu07.hatenablog.jp
mazu07.hatenablog.jp
mazu07.hatenablog.jp
mazu07.hatenablog.jp

両立支援コーディネーターに求められる医療知識(糖尿病分野)

こんにちは、作業療法士のToshiです。


本日は、「両立支援コーディネーターに求められる医療知識(糖尿病分野)」についてまとめてみます。
f:id:Mazu07:20210403135224p:plain


両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となります。


その理由は、
典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するため

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳)は両立支援の基本となるからです。


1,糖尿病とは
2,治療法は
3,両立支援の留意点

f:id:Mazu07:20210403135302p:plain

1,糖尿病とは

◎WHOにより、インスリン分泌不全やインスリン抵抗性による、インスリンの作用不足により慢性的な高血糖状態を主徴とする代謝疾患群」と定義されています。


血糖値とは、
血液中のブドウ糖の濃度のことで、血液100㎖中に含まれる㎎数で表し、単位は㎎/dlです。一般的には空腹時で100㎎/dl前後です。


HbA1cヘモグロビンA1c)とは、
糖尿病の治療を行う上で、糖尿病の血糖管理状態を反映する指標として最も利用されています。過去1~2か月間の平均血糖値を反映することが分かっています。糖尿病の診断、治療目標の設定、治療効果の判定などに使用されます。正常6.2%未満ですが、5.6%以上で糖尿病診断の検査である経口ブドウ糖負荷試験を行うことが推奨されています。6.5%以上で糖尿病型の判定がされますが、診断には高血糖値の証明も必要となります。一般的に慢性合併症予防として7.0%未満が推奨されています。
f:id:Mazu07:20210403150523p:plain
日本糖尿病学会のポスター資材より転載


症状:
口喝、多飲、多尿、全身倦怠感、体重減少、空腹感、疲れやすさなど


分類:
1型糖尿病自己免疫異常によりインスリンを合成・分泌する膵ランゲルハンス島β細胞が、破壊・消失することによるインスリン分泌欠乏や消失が原因です。若年発症が多く日本人では糖尿病患者の5%未満です。基本的にはインスリン注射療法を一生継続する必要があります。


・2型糖尿病-インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす素因を含む複数の遺伝的因子に、過食・運動不足・肥満・ストレスなどの環境因子および加齢が重なって発症する糖尿病です。いわゆる生活習慣病」と言われる糖尿病のタイプです。成人での発症が多く、大多数の糖尿病患者がこれに当たる。初期ではインスリンの分泌は比較的保たれ、生活習慣の改善と内服薬にて血糖管理が可能なことが多いのですが、数十年の長い経過ではインスリン分泌が枯渇し、インスリン注射療法を必要とすることがあります。


・妊娠糖尿病-妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常で、妊娠中の明らかな糖尿病および糖尿病合併妊娠は含みません。出産後に改めて糖尿病診断基準に基づき再評価します。


・その他の糖尿病-肝臓や膵臓の病気に伴う場合、薬剤による場合、特定の遺伝子の異常に伴う場合などの様々な糖尿病があります。


合併症:
・急性-低血糖症、異常な高血糖による昏睡(糖尿病性ケトアシドーシス高血糖性昏睡)などがあります。特に意識レベルの低下をきたすような重症の低血糖高血糖は、治療が遅れると命に関わり、直ちに医療機関への受診が必要です。感染症にも罹りやすくなります。


・慢性-糖尿病に特有のもので長時間の高血糖により各組織に慢性の合併症が生じる。三大合併症と言われています。糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害があります。長期間の経過で重症化した場合には、視力障害、失明、血液透析導入、足壊疽による下肢切断などに至ります。また、心筋梗塞脳梗塞、閉そく性動脈硬化症など動脈硬化症の発症リスクが2~3倍程度増加し現役世代での発症も増加します。
f:id:Mazu07:20210403145009p:plain
2,治療法は


1)代表的な治療法
食事療法糖尿病治療の基本となります。

一般的に勤労世代で普通の労働作業の方では目標体重当たり30~35kcal/kgが推奨されます。3大栄養素のバランスに関しては意見が分かれておりますが、バランスよく摂取するのが原則です。腎機能障害がある場合は塩分とタンパク質の制限が必要です。
  

運動療法糖尿病治療の基本となります。

一般的に週150分以上の運動を2日は空けずに行うことが良いとされています。有酸素運動無酸素運動(筋トレ)の組み合わせが推奨されています。
 
 
薬物療法食事と運動療法で血糖値の管理目標が達成できないときに使用されます。

病態に応じて種々の薬剤が選択され、多くで併用療法も行われます。内服薬、注射薬


・内服薬-現在7種類の経口血糖降下薬が使用されています。    
(下記参照)
  f:id:Mazu07:20210403150141p:plain
  日本糖尿病学会編・著「糖尿病治療ガイドライン
  2018-2019より転載
  

・注射薬(下記を参照下さい。)
https://www.nittokyo.or.jp/uploads/files/GUIDE_140515_B5.pdf
http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/insulin_list.pdf

  
f:id:Mazu07:20210403145032p:plain
3,両立支援の留意点

①外来での糖尿病治療継続の目的
→個々の生活スタイルへの配慮が必要です。その上で、糖尿病性網膜症による視力低下や糖尿病性腎症による人工血液透析などで休職している患者は復職支援対象となりますが、比較的少数例であり、一般に休職する患者はまれであるため、どちらかと言えば治療継続が支援の主要目的となります。


糖尿病治療中断者の特徴。
・定期通院の自己中断の最大の理由は、仕事の多忙
・受診中断率年約8%
 男性で就労者・若年者・血糖管理不良
 逆に
 良好者、過去に受診中断した人の再中断率は高い

→糖尿病の治療自己中断の防止が両立支援の目的。


②糖尿病の両立支援上の特性
→生活習慣に大きく関わって発症、進展する疾患のため生活習慣病に区分され、生活習慣は患者自身の問題であって企業が何かすることではないとの見方が一般的になっていることです。このため職場において両立の配慮が受けにくい面があります。両立支援の目的は、疾病入院による休業から復職支援ではなく、定期的な外来通院を促し業務多忙等による治療の自己中断を予防する治療継続支援より良い血糖管理が主目的となります。


③チームでの糖尿病両立支援と糖尿病両立支援手帳
→本人以外に事業場の関係者、医療機関関係者、地域の支援機関などが必要に応じてチームとして連携することが重要です。このためにお互いの情報共有が行われている必要があります。この情報交換ツールとして労働者健康安全機構では「就労と糖尿病両立支援手帳」を作成・配布しております。
f:id:Mazu07:20210403175303p:plain

④両立支援を行うための医療機関での環境整備
→院内で両立支援チームを立ち上げ、チームでの支援体制を整えることが、継続した支援活動には必要となります。正式な本業業務の一部として組織的に位置づけることが重要です。患者の支援は両立支援コーディネーターが支援チームを通して情報共有しつつ、主治医を含めたカンファレンスで支援方針、手段などを決定し、患者の状況を確認しながら行います。


医療機関側での両立支援上の配慮
→大多数の職場は産業保健スタッフが不在のため、情報提供書や糖尿病両立支援手帳等の受け取りは非医療職の上司である場合が多いと想定されます。情報提供書や両立支援手帳への記載の用語は平易にするなどして、分かりやすいようにする配慮が必要です。また、特に夜勤、シフト制勤務で不規則な食事の場合の内服・インスリン自己注射の方法・運転業務や危険作業を行っている場合の低血糖リスクの少ない薬物療法の選択などに考慮が必要。そして、就労糖尿病患者本人が主治医の指示等に基づき定期通院すること、きちんと服薬。インスリン自己注射をすること、適切な生活習慣を守ること等、治療や疾病の増悪防止に主体的に取り組むことが重要となります。


⑥職場側での両立支援上の配慮
→定期通院のための時間の確保等に対する配慮だけでなく、治療状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置等が必要になります。糖尿病治療中の就業者は重症慢性合併症進行者では、視力障害や血液透析施行、下肢切断を防ぐため就業場所の変更、労働時間の短縮、深夜勤務の制限等の必要が生じることがあります。インスリン自己注射療法による低血糖の問題も両立支援上大きな課題です。無自覚性低血糖発作のある方は、リスクを伴うため運転業務や危険作業従事は絶対に避けるべきです。
f:id:Mazu07:20210403145105p:plain
本日は、両立支援コーディネーターに求められる医療知識(糖尿病分野)についてまとめてみました。


両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となる理由は、

典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するためです。

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳両立支援の基本となるからです。

その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、
最適なサポートができるように学び続けます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。



≪参考図書≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 仕事の両立支援コーディネーターマニュアル

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト
www.johas.go.jp
www.research.johas.go.jp
日本糖尿病学会編・著「糖尿病治療ガイドライン
日本糖尿病学会のポスター
mazu07.hatenablog.jp
mazu07.hatenablog.jp
mazu07.hatenablog.jp

両立支援コーディネーターに求められる医療知識(がん分野)

こんにちは、作業療法士のToshiです。


本日は、「両立支援コーディネーターに求められる医療知識(がん分野)」についてまとめてみます。


1,基本的な医療知識
2,疾病の概要
3,両立支援の留意点

f:id:Mazu07:20210328183620p:plain

1,基本的な医療知識



両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となります。


その理由は、
典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するため

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳)は両立支援の基本となるからです。


2,疾患の概要


毎年86万人ががんに罹患し、
その約3分の1が勤労者であると言われています。


すなわち、

毎年25万人以上の勤労者ががんに罹患することになります。


また、


2019年の国立がん研究センターの発表では、
66%のがん患者が5年以上生存できるとされています。がんの治療成績は年々向上してきており、がん患者が治療を受けながら働き続ける事が出来る可能性が高まっています。
f:id:Mazu07:20210328183006p:plain



部位別罹患数・死亡率(国立がん研究センター情報サービスより)


2014年に新たにがんと診断された人は867408人
(男性501527人、女性365881人)おり、


部位別では、
男性が①胃②肺③大腸④前立腺⑤肝臓 
女性が①乳房②大腸③胃④肺⑤子宮の順となっています。
f:id:Mazu07:20210328131830p:plain


また、


部位別がん患者罹患数を年齢別にみると、

男性では40歳以上で消化器系(胃、大腸、肝臓)のがんが多く、
    70歳以上では前立腺がんと肺がんが多くなっています。
f:id:Mazu07:20210328133742p:plain

女性では40歳以上では乳がん、子宮がん、卵巣がんが多く、
    高齢になると消化器(胃、大腸、肝臓)のがんが多くなります。
f:id:Mazu07:20210328133834p:plain


一方、


2017年にがんで死亡した人は373334人
(男性220398人、女性152936人)おり、


部位別では
男性が①肺②胃③大腸④肝臓⑤膵臓
女性が①大腸②肺③膵臓④胃⑤乳房の順


男女合わせると①肺②大腸③胃④膵臓⑤肝臓の順となる。
f:id:Mazu07:20210328134259p:plain


生涯でがんに罹患する確率男性62%女性47%


がんで死亡する確率男性25%女性15%
となっています。


しかし、


2006~2008年にがんと診断された人の5年相対生存率は、
男女計で62.1%(男性59.1、女性66%)
年々、5年相対生存率は上昇しています。


5年生存率は上昇にありますが、


がん患者の離職と精神的苦悩について静岡県立がんセンターを中心とするグループが行った調査によると


がんと診断された人の離職率約34.6%
そのうち治療開始前に約40%の人が離職している
という結果があります。


また、


ガンと診断されてから最初の入院するまでの間に身体の不調よりも精神の不調が強くなり、放射線治療抗がん剤治療による身体の不調とともに精神的にも不調が強くなります。


時間の経過とともに精神的苦悩が変化することを支援する人は知っておく必要があります。
f:id:Mazu07:20210328182423p:plain


3,両立支援の留意点



1)消化器系(胃・大腸・肝臓)がん
2)肺がん
3)乳がん



1)消化器系(胃・大腸・肝臓)がん

胃がんの両立支援の留意点
f:id:Mazu07:20210328184120p:plain
胃切除例の後遺症を胃切除後後遺症といいます。
・胸焼け(逆流性食道炎)、下痢、貧血、おなら・げっぷの回数が増加しやすい。・ダンピング症候群(胃から食物が一気に小腸に流れ込むため生じる。強い症状として意識消失を生じることがある)が生じやすくなります。


・早期ダンピング症候群:食後5~30分位で冷汗、動悸、めまいなど→自律神経反応。横になり休んで対処する。
・晩期ダンピング症候群:食後2~3時間で発汗、倦怠感、めまいなど→低血糖。飴などにて糖分を摂取する。


ダンピング症候群を防ぐには少量・頻回食が重要とされています。



◎大腸がんの両立支援の留意点
f:id:Mazu07:20210328182623p:plain
腸切除例での留意点は、
下痢、便秘、頻回の排便などを生じることがあり配慮が必要である。
手術例では胃腸閉塞(イレウス)を起こすことがある。


オメスメイト:ストーマ人工肛門、人口膀胱)造設した方の留意点。


・職場でも、ストーマ装具や装具交換時に使用する物品をおいておくようにします。
・過酷な労働や重いものを持ち上げるような仕事は、ストーマ部位の脱腸などの合併症を発生することがあるため、主治医に必ず相談する。このような仕事にはベルト着用などで予防が必要となることがあります。
・通勤途中に利用できるトイレ(オストメイト対応多目的トイレ)を把握しておくことが必要となります。
・職場でオストメイトトイレがない場合は、トイレ休憩時間がとりやすい配慮も必要となります。
ストーマケアが必要な場合はにおいやガス音を気にされることもあるためトイレやドアに近い席への移動、装具交換の可能なトイレの確保などの配慮も必要となります。



◎肝臓がんの両立支援の留意点
f:id:Mazu07:20210328184522p:plain
再発がなく肝臓機能が保たれていれば、治療を優先させた復職スケジュールを作成する。最初は半日勤務などで慣らしていき体力に合わせた就労、通勤による疲労感も大きいため通勤時間の変更、勤務時間自体を変更するなどの検討が必要となります。



2)肺がん

肺がんの両立支援の留意点
f:id:Mazu07:20210328182708p:plain
外科手術後の留意点

・術後の肺活量低下しやすく換気不足から歩行や階段昇降時の息切れがある。また、今まで使用した呼吸保護具が使えなくなる事があります。
・術創による肩甲骨~肋骨に沿った痛みがあり排痰困難、無気肺、肺炎などを生じやすくなります。
・痺れ、痛みや突っ張りで上肢作業に支障がでやすくなるので荷物運搬は注意をして作業をする。ショルダーバックなどを利用などの工夫が必要となります。また通勤時はラッシュの回避、電車のつり革を持つなどの配慮も必要となります。




3)乳がん


乳がんの両立支援の留意点
f:id:Mazu07:20210328182641p:plain
・乳房切除後の補装具、抗がん剤治療による脱毛に対するウイッグを使用している時には、更衣などにおける配慮が必要となります。
・ホルモン療法は治療開始後しばらくしてから、ほてり、顔の紅潮、発汗など、更年期障害のような症状「ホットフラッシュ」が生じる。
抗がん剤による倦怠感、抑うつ状態、イライラ感など体調もメンタルも不安定になり易くなる。
・治療を優先させた治療スケジュールと勤務日の調整、職場の上司や同僚への病状や治療スケジュールを説明し理解を得ることは本人だけでは難しい場合があるので調整が必要。
・本人の疲労度、体の制限、治療予定、また、就業状況などの情報を主治医と事務所の担当者が共有することを促し、配慮事項を確認、調整する必要がある。



本日は、両立支援コーディネーターに求められる医療知識(がん分野)についてまとめてみました。


両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となる理由は、

典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するためです。

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳両立支援の基本となるからです。
f:id:Mazu07:20210328184710p:plain
その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、
最適なサポートができるように学び続けます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。



≪参考図書≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 仕事の両立支援コーディネーターマニュアル

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト
www.johas.go.jp
www.research.johas.go.jp

mazu07.hatenablog.jp
mazu07.hatenablog.jp

両立支援コーディネーターの役割

こんにちは、作業療法士のToshiです。


本日は、「両立支援コーディネーターの役割」
についてまとめてみます。
f:id:Mazu07:20210320102943p:plain

1,求められる能力
2,立場
3,対象者


両立支援コーディネーターの役割は、


仕事を辞めずに治療が続けられるようにサポートすること。また労働者と医療と職場の理解が深まるように支援することです。


治療と職業生活との両立は、子育てや介護と違い、時間や金銭的な要因だけでなく、ご自身が患者さんとして治療をうけるという特殊性があります。医療という専門性や社会福祉資源の複雑さもあり、患者・家庭だけでは対処しきれないことも多く、「労働者=患者」「事業者」「医療」との情報共有が必要ですが、共通言語ではないことが多く「患者=労働者」の思いに耳に傾け、支援するコーディネーターは非常に有用です。
f:id:Mazu07:20210320103043p:plain


1,求められる能力


以下の①-⑤が求められる能力とされています。


①コミュニケーションスキル

→支援を行う上で必要なコミュニケーション・スキル
 支援対象者の疾病や治療に伴う心理的ストレスへの理解


②医療に関する基本的知識

→典型的な疾病や治療に関して、特徴、経過及び就業に当たって影響。
 疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳



③産業保健に関する基本的知識

→産業場における労働者の健康管理の基本的考え方
 産業保健体制および産業保健活動


労務管理に関する基本的知識

→両立支援を行う上で必要となる労働関係法令に関する知識
 事業場における就業継続可否の考え方、就業上の措置・配置事項


⑤社会資源に関する知識

→経済的支援を含む両立支援に利用可能な支援機関、支援制度の知識

①~⑤の知識をすべて備えて、全体的に俯瞰できればいうことないのでしょうが、現実的には難しいです。
このため、それぞれの分野にどういうことがあるのか、その最大公約数のところを把握しておき、この分野についてどの方面の誰とつなげば良いのかということを整理し、情報提供できることが大事になります。
f:id:Mazu07:20210320103119p:plain


2,立場



医療スタッフや事業所との連携をお手伝いするのが立場となります。


雇用の基本は、労働者と使用者との間の労働契約で成り立っています(職業生活)ので、雇用継続・休業・退職・解雇など決定当事者は労使双方であり、両立コーディネーターが労使間に介入することはできません。あくまで依頼を受けて、「医療スタッフ」や「事業所」との連携をお手伝いする立場であることを伝える必要があります。


治療という不安定要素が加わることで、労働者と使用者の間で共通認識をもつことが難しくなることがあります。患者・労働者と医療と職場の理解が深まるようにサポートする者であり、「交渉人」や「代理人」ではありません。


f:id:Mazu07:20210320103148p:plain
3,対象者


①発症前に何らかの仕事についており
②その仕事を継続する意思があり
③両立支援コーディネーターによる支援介入に同意のある方。


就労する意思がない方やもともと仕事をしていない方を、無理やり就労レールに乗せるものではありません。


両立支援が必要な疾患は色々ありますが、疾患を治療のパターンから見ていくと6パターンに分類できます。


・長期入院から復職(転院あり) 脳卒中、脊損
・長期入院から復職(転院なし) 脳卒中、骨折
・入院から復職 繰り返し入院  癌、難病
・入院から復職 外来治療継続  癌、難病、メンタル、心疾患、腰痛
・外来から復職 外来治療継続  メンタル、腰痛
・外来治療の継続        糖尿病、メンタル、肝炎、高血圧


治療パターンの特徴から両立支援コーディネーターの関わり方は、


「休業から復職するパターン」
「休業せず両立するパターン」

に分けることができます。


◎休業から復職を目指すことが多い疾病としては、
がん、脳卒中、難病などがあげられます。


一方、


◎通院治療との両立を目的とすることが多い疾病としては、
がん(外来治療)、糖尿病、メンタル不調など




両立支援コーディネーターの役割は、


仕事を辞めずに治療が続けられるようにサポートすること。また労働者と医療と職場の理解が深まるように支援することです。


その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、
最適なサポートができるように学び続けます。


最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。


≪参考図書≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 仕事の両立支援コーディネーターマニュアル

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト
www.johas.go.jp
www.research.johas.go.jp

両立支援コーディネーター?

こんにちは、作業療法士のToshiです。


本日は、
両立支援コーディネーターについてまとめてみます。
f:id:Mazu07:20210314080812p:plain


1,両立支援コーディネーターとは
2,両立支援コーディネーターはなぜ必要か?
3,両立支援コーディネーターになるには



両立支援とは、病気の治療をしながら仕事をしている方を支える取り組みです。


病気を抱えながらも働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受けながら生き生きと就労を続けることを目指しています。
f:id:Mazu07:20210313193829p:plain
1,両立支援コーディネーターとは


治療と仕事の両立に向けて、支援対象者、主治医、会社・産業医などのコミュニケーションが円滑に行われるよう支援する者とされています。


支援対象者が治療と仕事を両立できるよう、それぞれの立場に応じた支援の実施及び両立支援に関わる関係者との調整を行うことがその役割として求められていますが、労働者健康安全機構では研修事業を実施し、両立支援コーディネーターの養成を図っています。
f:id:Mazu07:20210313192620p:plain

2,両立支援コーディネーターはなぜ必要か?


治療と職業生活との両立は、子育てや介護と違い、時間や金銭的な要因だけでなく、ご自身が患者さんとして治療をうけるという特殊性がある。医療という専門性や社会福祉資源の複雑さもあり、患者・家庭だけでは対処しきれないことも多い。


「労働者=患者」と「事業者」と「医療」との情報共有が必要だが、共通言語ではないことが多く、「患者=労働者」の思いに耳に傾け、支援するコーディネーターは非常に有用であるからです。


・両立支援コーディネーターの役割は、
 →労働者と医療と職場の理解が深まるようにサポートします。


・両立支援コーディネーターの立場は、
 →医療スタッフや事業所との連携をお手伝いする立場である。


・両立支援コーディネーターの対象者は、
 →発症前に何らかの仕事についており仕事を継続する意思があり、両立支援コーディネーターによる支援介入に同意のある方。
f:id:Mazu07:20210313193919p:plain
3,両立支援コーディネーターになるには


独立行政法人 労働者健康安全機構が主催の両立支援コーデイネーターの基礎・応用研修を受講することです。



≪基礎研修≫
※今年度(2020年度)は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により集合形式での研修は中止となり、基礎研修はオンライン形式で開催となりました。


1 研修形式 

 「動画配信」と「WEBライブ講習」を組み合わせて実施。
 
 「動画配信」
  ・治療と仕事の両立支援とは
  ・産業保健に関する知識
  ・労務管理に関する基本的知識
  ・社会資源に関する知識
  ・両立支援のためのコミュニケーション技術
  ・がん経験者による当事者談話

 「WEBライブ講習」
  ・両立支援コーディネーターの必要性とその役割および留意点
  ・基本的な医療に関する知識
  ・両立支援コーディネートの実際     


2 受講対象者 
  医療機関、支援機関、事業場などにおいて両立支援に携わる方。
  1開催につき1事業所(医療機関・事業場)の受講者数を1名


3 お申込み方法 
  機構ホームページ上でフォームよりお申し込み


4 受講料 
  無料



≪応用≫ 
※今年度(2020年度)は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により応用研修は開催されませんでした。


1 募集定員 
  各会場ともに人数制限があり。
  応募者多数の場合は厳正なる抽選のもと、受講決定。


2 募集対象者 
  両立支援コーディネーター基礎研修を修了した上で、
  両立支援の実務に従事している方。   
  医療機関に勤務する医療従事者に限る。


3 受講料 
  無料


4 研修内容 
  各分野の支援事例について、グループワーク。
  疾病4分野(脳卒中・がん・メンタルヘルス・糖尿病)
  それぞれを想定した事例を検討、発表するグループワーク型研修。


上記の基礎・応用研修を受講することで両立支援コーデイネーターになることができます。
f:id:Mazu07:20210313194028p:plain

本日は、両立支援コーディネーターについてまとめてみました。


両立支援とは、病気の治療をしながら仕事をしている方を支える取り組みです。


病気を抱えながらも働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受けながら生き生きと就労を続けることを目指しています。私はまだ基礎研修を受講しただけなので来年度の応用研修に参加して両立支援コーデイネーターになりたいと思います。


その人がその人らしく、よりよく生活していけるように全力でサポートできるように学び続けます。


最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。


≪参考図書≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 仕事の両立支援コーデイネーターマニュアル

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト
www.johas.go.jp
www.research.johas.go.jp

職場で利用すると便利なツール

こんにちは、作業療法士のToshiです。


本日は、高次脳機能障がいの方が
「職場で利用すると便利なツール」
についてまとめていきます。


f:id:Mazu07:20210307110930p:plain
1,なぜツールが必要か?
2,目的ではなく手段
3,ツールの種類



高次脳機能障がいのある方に様々なツールを用いて目的に沿った行動をガイドすることはとても有効な手段です。

f:id:Mazu07:20210307110958p:plain
1,なぜツールが必要か?



高次脳機能障がいの方にとって同時処理が難しいため、課題遂行している途中で


「今、何をしていたのか?」
「何のために行動していたのか?」


が分からなくなってしまい指示されたことと違うことを行っていたり、試行錯誤を繰り返したり混乱したりすることはしばしばみられます。それらを解決する手段として様々なツールがあります。


職場では、正確に、そして素早く業務遂行していく能力が求められます。そして業務遂行するためには、


常に

「目的に沿って」「行動をする」


能力が必要となります。



f:id:Mazu07:20210307111027p:plain
2,目的ではなく手段



ツールを使用することは、
①目的に沿って
②行動をする
③ツールを使う。


ことが必要となります。



活用する事には、本人の能力や特性を十分に理解しておくことが重要になります。


人によってはツールを使わずに繰り返し、身体で覚える方が有効の人もいます。


ツールは目的ではなく手段です。



ツールを活用すればすぐに自立するものではなく、
時間をかけて活用できるようになります。
周囲の継続的なフォローが必要となります。


f:id:Mazu07:20210307111052p:plain
3,ツールの種類



①職場アセスメントシート、
②行動手順書
③作業の手順書
進捗管理
⑤入口・照合定規
⑥作業指示書
⑦明治の方法



①職場アセスメントシート
職場で安定して働くためには単に業務の内容が適合していれば全てうまくいくものではなく、

様々な要素(職業能力や性格、人間関係、職場のルール、事務所内の雰囲気、始業時間、終業時間、休憩時間など)の組み合わせがマッチしているかがポイントになってきます。


職場の要素を様々な角度から情報収集しておくことが大切になります。


どのようなところが仕事のしづらさに影響を与えているのか整理するためにも、「職場アセスメントシート」を活用し、高次脳機能障がいのある方が働きやすい環境づくりに役立てられるといいと思います。




②行動手順書
「いつ」「どこで」「何をするのか」を把握して、出勤から退勤までの行動を時間に沿って1日の流れを整理したもの。

注意、記憶、遂行機能障がいなどの症状がある場合、手順書は有効です。




③作業の手順書
仕事の手順を一つひとつの行動単位に細分化し、時系列に沿って並べること。注意、記憶、遂行機能障がいなどの症状がある場合は、課題分析を行い業務内容を定型化していくことが有効です。また、作業の手順書を作成することで自立して業務遂行がしやすくなります。


本人や職場の状況に合わせて、カスタマイズしていくことが必要。




進捗管理
日をまたぐと、仕事をどこまでやったのか、提出したのかなど、分からなくなってしまうことが出てきます。メモリーノート等を活用して、進捗管理をする方法もありますが、職場内で完結することですので、専用の進捗管理表を活用するのも一つの方法です。


使用法、仕事の指示があったら、作業内容(目的・注意事項)納期などを確認し、記入をする。すぐに終わらない仕事は進捗状況を記載し、終了した納品日を記載する。




⑤入口・照合用定規
パソコン業務では資料・手順書などが必要となりますが、注意の切り替えが苦手な人が多く、自分がどこまで行ったか分からなくなり、ミスを犯すことが見られます。


このような場合に定規の活用で誤入力を防止できます。
入力・照合用定規の使用法、手順書及び入力する元データの見るべき箇所に、定規を使用します。定規の上の手順を見る→手順に沿って作業する→終了したら定規をずらすを繰り返し、習慣化するまで声かけをするといいとされています。




⑥作業指示書
口頭指示するとすぐに忘れていたり、一度に多くの指示をすると一つのことしか覚えていなかったりなど、指示したことを忘れてしまうことはよく起こります。そこで作業指示書を活用することで、指示の行き違いを防止します。


使用方法、誰から誰への指示かが分かるように記載する。一度に多くの指示を出す場合は、優先順位(番号)をつける。




⑦明示の方法
ラベルや張り紙などで注意する事項を明示することは重要です。


記憶障害が重篤な人にとっては、毎回、はじめてやっているのと同じような感覚になります。そのため、初めての人でもすぐに分かるような環境を作りが重要です。


行動を観察し、行動を遮るようなポイントに張り出すことが有効です。



f:id:Mazu07:20210307111118p:plain
高次脳機能障がいのある方に様々なツールを用いて目的に沿った行動をガイドすることはとても有効な手段です。


その人がその人らしく、よりよく生活していくためには周囲の方のサポートが必要です。皆が障がいに対する正しい知識を深め、症状に対する対応方法を学んでいくことが必要と考えます。


最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。




〇参考図書:50シーンイラストでわかる高次脳機能障害「解体新書」―こんなときどうしよう!?家庭で、職場で、学校での“困った"を解決! 単行本 –名古屋市総合リハビリテーションセンター | 2011/11/16

メモリーノートの活用方法

こんにちは、作業療法士のToshiです。



本日は、
「メモリーノートの活用方法」
についてまとめてみます。



1)メモリーノート
2)必要となる場合
3)作成・導入まで

f:id:Mazu07:20210227192504p:plain



1)メモリーノート


「記憶障がい」「遂行機能障がい」
補助手段として使用されるツールです。



モリーノートは、スケジュール管理の自立を目標として使用されるスケジュール帳として、また約束を忘れてしまったり物事の優先順位が付けられず仕事の遂行人間関係に影響をきたすことがありますが、それらの補助手段として使用するツールです。
f:id:Mazu07:20210227193302p:plain



2)必要となる場合


1)記憶障がいがあるのにメモやスケジュール帳が使えない。

→面倒だという理由でメモを取ろうとしない方。

  取ったメモをきちんと見ようとしない方。



2)市販のスケジュール帳では有効に使えない。

 →スケジュール帳の利用経験がない方。

  市販のスケジュール帳ではまだうまく使用できない場合。



3)遂行機能障がいにより効率的な行動ができない。

 →未来予定の管理ができない方。

  物事の優先順位が付けられないため大切な用件があっても
  目先の関心に捕らわれ行動し、遅刻してしまうような方。



4)状況判断の低下

 →常識的判断が困難。
   詳細なことでパニックに陥りやすい場合。



5)スタッフ間での情報共有ツール



f:id:Mazu07:20210227193324p:plain

3)作成・導入


とにかくシンプルで記入しやすい形式
情報が整理しやすいことを大切にして作成する。
月日・曜日、時間、内容など必要な情報だけに絞る。
ノートサイズはA5orA4がおすすめ


パニックを防止する有効なツールとして
「迷ったときに見るページ」
などの項目を設けておくことも大事。


慣れてきたら、メモリーノートから市販のスケジュール帳にトライ!


いきなり難しいタイプに移行せず、必要な情報のみ整理できるように
「シンプル」
「書き込み欄は大きく」
「持ち歩きしやすいサイズと重さ」

などを考慮して本人と共に選び試してみる。



モリーノートは、「記憶障がい」「遂行機能障がい」の
補助手段として使用されるツールです。


スケジュール管理の自立を目標として使用されるスケジュール帳として、また、約束を忘れてしまったり、物事の優先順位が付けられず仕事の遂行や人間関係に影響をきたすことがありますが、それらの補助手段として使用するツールです。


その人がその人らしく、よりよく生活していくためには周囲の方のサポートが必要です。皆が障がいに対する正しい知識を深め、症状に対する対応方法を学んでいくことが必要と考えます。
f:id:Mazu07:20210227202816p:plain


最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。



〇参考図書:50シーンイラストでわかる高次脳機能障害「解体新書」―こんなときどうしよう!?家庭で、職場で、学校での“困った"を解決! 単行本 –名古屋市総合リハビリテーションセンター | 2011/11/16