作業療法士toshiの就労支援

作業療法士であるtoshiが就労支援についての情報を定期的に発信します。

両立支援コーディネーターとして必要な労務管理に関する基本的知識②

こんにちは、作業療法士のtoshiです。 


本日は、
労務管理に関する基本的知識」
についてまとめます。前回の続きになります。
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前回のブログはこちらになります。
mazu07.hatenablog.jp

1,労働安全衛生法上の健康確保措置
2,安全配慮義務
3,事業者における両立支援上の課題
4,事業者における就業上の措置・配慮


そもそもなぜ、両立支援を進める上で労働関係法令や、事業場における就業継続可否の基本的考え方、就業制限、就業上の措置・配慮等の対応について理解しておく必要があるのでしょうか?


それは、労働者(患者)の必要な情報を医療機関から企業へと繋げるために企業での休暇制度や労働契約の取扱いといった労働関係法令の知識を持っているか否かで支援の幅が違ってくるからです。
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1,労働安全衛生法上の健康確保措置

労働安全衛生法では、事業者による労働者の健康確保対策に関する規定が定められていますが、

特に、労働者が業務に従事することによって、病気(負傷を含む)を発症したり、病気が増悪したりすることを防止するための措置や、心身の条件に応じた適正な配置などを事業者に求めています。


労働安全衛生規則第61条では、

事業者心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれがあるものにかかった者については、その就業を禁止しなければならないとされています。治療後の経過が思わしくなく、症状が悪化することにより、就労困難と判断される場合には、就業禁止の措置をとらざるを得ない場合もあります。


対象者の疾病の種類、程度、就労に伴う負担、就労意欲等の種々の条件を十分に考慮して慎重に判断することになります。
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2,安全配慮義務

労働契約法第5条
使用者の安全配慮義務が定められています。
 
元来、使用者は労働契約上の当然の義務として、労働者に対する安全配慮義務を負うものと解されていましたが、その根拠となる明文の規定が存在していませんでしたので、

平成19年に成立した労働契約法(平成20年から施行)によって、個々の労働契約に特約として明記がなくとも、労働契約上の付随的義務として、使用者が安全配慮義務を負うことが明文化されました。


安全配慮とは、
労働者が普通に仕事をしていて怪我や病気にかからないように、生命、身体の危険から保護するための環境を用意することです。

企業の業種や労働者の業務内容によってその水準は当然に異なってきますが、就業場所や使用する機器や器具の管理、使用者の指示の下で労務を提供する過程において、身体や生命を保護するように配慮し、労働者の安全を確保すべき義務が使用者にあります。


安全配慮義務違反とは、

労働契約に付随する安全配慮義務を使用者が労働者に対して怠った状態をいいます。

特に、労働者が労務を提供している最中に、身体や生命に損害が発生した際に、安全配慮義務違反があれば損害賠償の対象となり得ることがあります。

その判断ポイントは、
予見可能性
 (危険やその危険による結果を予見できたか)、
②危険回避

 (危険やその危険による結果を回避する措置をとっていたか)、
③結果との因果関係

 (その危険による結果は仕事と十分関係があるか)
 
病気を抱えた労働者である以上、使用者にはその勤務中の安全の担保が求められます。使用者がその安全配慮義務を適切かつ十分に行うためには、具体的な配慮事項の情報を得る必要があります。
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3,事業者における両立支援上の課題

治療と仕事の両立に係る取組がある企業において、「困難なことや課題と感じていることがある」と答えたのは約7割になっています。その課題の内訳をみると、

「代替要員の確保」「上司や同僚の負担」が企業規模の大小にかかわらず多くを占めています。平成27年度 労働安全衛生調査)
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 これらは、育児や介護との両立支援においても最も多く挙げられる課題であり、
「休業取得者の代替要員を確保し、その後休業取得者を原職等に復帰させる」ことに共通する難しさです。

事業者が就業上の措置や配慮を行うに当たり、その基本的認識としておおむね次の3点があることを理解しておく必要があります。
① 代替要員の確保
➡ 休業を伴う場合、いつまで休むのか? いつ復帰できるのか?
中途採用・募集をすべきか?
② 病気や治療の見通し
➡ 通院の頻度、通勤への影響は?
➡ 職場全体にどのような影響がでるのか?
③ 病態の悪化・復職可否の判断
➡ 勤務中の健康・安全は担保されるのか?
➡ 病気になる前と同じ能力を期待できるか
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4,事業者における就業上の措置・配慮
 
休業を伴う病気の職場復帰に向けたケースでは、おおむね次のようなステップを踏みます。
 ①休職中の体調確認
 ②主治医の復職許可
 ③事業場の復職可否判断
 ④職場復帰
 ⑤職場復帰後のフォローアップ

もし産業医がいる場合でしたら②と③の間に産業医面談が入ることがあります。休業を伴わない通院治療を継続しながら両立するケースでは、①体調確認、②治療継続のための工夫となるでしょう。

この際の事業者は、まずは本人の就労意欲を第一に、安全な通勤や体調の安定性、労働時間内での就労可能性等について判断することになります。具体的な措置や配慮の内容は個々の事情によって変わってくるものですが、例えば、体力低下を考慮した業務負荷軽減の措置として、時間外労働や出張の禁止、勤務シフトの固定等が考えられます。


治療・通院時間に対する時間的配慮としては、時差出勤制度や時間単位の年次有給休暇制度の導入などが考えられます。この他にも、体調不良に対する職場環境の配慮として、接客対人対応からの業務変更やトイレに行きやすい座席への変更があげられます。
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本日は、「労務管理に関する基本的知識」についてまとめました。


両立支援を進める上で労働関係法令や、事業場における就業継続可否の基本的考え方、就業制限、就業上の措置・配慮等の対応についてなぜ理解しておく必要があるのか?


それは労働者(患者)の必要な情報を医療機関から企業へと繋げていくことから企業での休暇制度や労働契約の取扱いといった労働関係法令の知識を持っているか否かで支援の幅が違ってくるからです。


その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、最適なサポートができるように学び続けます。
最後までお読みいただきありがとうございます。参考にしていただければ幸いです。

独立行政法人 労働者健康安全機構 
治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル
www.johas.go.jp

独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料

両立支援コーディネーターとして必要な労務管理に関する基本的知識①

こんにちは、作業療法士のtoshiです。 


本日は、
労務管理に関する基本的知識」
についてまとめます。
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1,労働契約に関する基本的事項
2,就業規則
3,休日・休暇・休業制度


そもそもなぜ、両立支援を進める上で労働関係法令や、事業場における就業継続可否の基本的考え方、就業制限、就業上の措置・配慮等の対応について理解しておく必要があるのでしょうか?


それは、労働者(患者)の必要な情報を医療機関から企業へと繋げるために企業での休暇制度や労働契約の取扱いといった労働関係法令の知識を持っているか否かで支援の幅が違ってくるからです。
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1,労働契約に関する基本的事項


労働契約とは、「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを内容とする労働者と使用者の間の契約」のことです(労働契約法第6条)。
 

労働契約は「期間の定めのない契約」と「期間の定めのある契約」
の2つに分けられます。


前者はいわゆる正社員や正規職員と称されるもので、自らの意思で退職を申し出る、定年退職を迎える、特段の事情で解雇される、などの事情が発生しない限り継続して勤務する労働契約です。


一方、

後者はパート、派遣、嘱託など呼称は様々ありますが、半年間や1年間といった契約期間の定めがある働き方(有期労働契約)であり、正規雇用労働の典型例です。


 両立支援を進めるに当たり、「期間の定めのない契約」では、社内の各種休暇や福利厚生制度などを把握・活用し、「退職しない(させない)」支援が大事になりますが、

「期間の定めのある契約」では、病気の有無にかかわらず、その期間が満了すれば、原則として労働契約は終了します。

しかし、有期契約を反復更新することで、結果として長く雇用している実態は多く、こうした契約を使用者から終了させることを「雇止め」と呼んでおり、労働契約法上一定の制限があります。また、正社員など期間の定めのない者との間に、不合理に労働条件を相違させることは禁止されていますが(同法第20条)、職制や職務内容・責任程度の違いによって、社内で行使できる制度や権利等は異なることが多いです。


 総務省労働力調査によると、
正規雇用労働者平成6年以降増加傾向にあり、平成30年で2,000万人を超えており、雇用者全体の約38%を占めています。

また、近年、非正規雇用労働者に占める65歳以上の割合が高まっていますが、高齢化は疾病の最大リスクであり、両立支援の現場で直面するのも比較的高齢の方が多いと思われます。まずは患者の労働契約の内容を知ることが重要です。
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2,就業規則


 就業規則とは、「労働者が就業上遵守すべき規律や労働条件に関する具体的細目について定めた社内規則」のことです。


常時10人以上の労働者を使用している使用者はこれを作成しなければなりません(労働基準法第89条)。

就業規則に定める労働条件は、労働基準法に定める基準以上、かつ、合理的なものとする必要があり(同法第93条、労働契約法第7条)、

少なくとも、
①労働時間・休憩・休日・休暇に関する事項、
②賃金の決定・支払方法・締切日・支払日・昇給に関する事項、
③退職に関する事項は必ず記載することになっています。

就業規則を作成する義務者は使用者ですから、内容が法令等に抵触しない限り、使用者は自由にその内容を定めて作成することができます。

法令上求められているものは規定する必要がありますが、そうでないものは任意であり、ここに企業ごとの勤務条件の違いがでてくることになります。


 使用者は就業規則を作成した後には、職場で常時見やすい場所に掲示・備付けや、書面の交付などによって、労働者に周知する必要があります。


就業規則で定め周知された労働条件は、その事業場における労働条件の最低条件としての効力を持ちます。

無用なトラブルを未然に防止するためにも、日頃から労使双方が就業規則の内容をよく確認しておくことは大切です。


 例えば、両立支援を進める上で確認が必要となるのは休暇や休業のことです。

どのような休暇や休業制度があるのかは就業規則を確認します。併せて、その休暇の取得条件、取得手続、取得可能な日数(限度)、取得期間中の賃金(有給または無給)についても就業規則に定められており、その規定によって休暇の取得などを運用することになります。

その他にも、労働時間の短縮措置、時間外・深夜労働の免除、配置転換に関する要件、傷病扶助に関する事項なども、確認の必要が生じるかもしれません。

こうした勤務環境に関する様々な事項が就業規則に記載されていますので、両立支援を進めるに当たっては労働者(患者)に自身の職場の就業規則を確認してもらうことが重要になります。
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3,休日・休暇・休業制度


一般社会においては様々な休日・休暇・休業の制度がありますが、それぞれに明確な定義や区別がなされているわけではないのが現実です。

「休日」とは労働契約上もともと労働が予定されていない日のことであり、


「休暇」とは本来は労働日であるものの何らかの事由によってその労働義務が免除される日


「休業」とは休暇の少し長い期間のものと考えておけばわかりやすいです。
 

休日とは、もともと労働義務がない日のことです。最たる例が「公休日」です。法定休日として最低週1日は休日を確保する必要がありますので(労働基準法第35条)、曜日や日数は各企業によって異なるものの、それぞれの職場で公休日が定められているはずです。


 一方、休暇とは本来労働義務がある日を、何らかの事情に基づき労働を免除するものです。

年次有給休暇、病気休暇、忌引き休暇、誕生日休暇、育児・介護休暇…といったもので、各企業によって多種多様な休暇制度が存在しますが、どのような種類の休暇制度があるのかは就業規則に記載されています。

休暇は各企業が独自に定めているものですので、一部の法定上の休暇を除いて、就業規則上に存在しない休暇もあり得ることに留意する必要があります。

例えば、「傷病休暇」、「病気休暇」は入院治療や通院のための休暇ですが、使用者が自主的に設ける法定外の休暇であり、必ずしも全ての企業で制度として整備されているとは限りません。取得条件や取得中の処遇(賃金の支払いの有無等)等も企業ごとに異なります。


なお、厚生労働省の就労条件総合調査(平成31年)では、病気休暇制度がある企業割合は25.7%となっています。


年次有給休暇は数ある休暇の中でも「年次有給休暇」は法定の休暇制度です。


雇入れの日から起算して6か月の継続勤務
所定労働日の8割以上出勤、の2要件を満たせば、業種・規模を問わず年次有給休暇は付与されます。


付与日数は勤続年数によって異なり、以下のとおりです。

週所定労働日が4日以下である短時間勤務の方でも比例付与されますので、「アルバイトだから」、「非常勤職員だから」年次有給休暇がないというのは間違った理解です。

付与は原則として1日単位ですが、労使協定を締結することにより、1年5日分を上限に時間単位での取得を可能とすることもできます。
 
 取得に際し休暇の目的や理由は問われません。取得したことによる不利益な取扱い(精皆勤手当や賞与の算定に際し欠勤として取り扱う等)も禁止されています。


 休暇を実際に取得するためには、労働者がその時季を指定して取得することになりますが、指定時季が事業の正常な運営を妨げるような場合には、使用者には休暇時季の変更権が認められています。

なお、年次有給休暇は労働者が請求する時季に与えることが原則ですが、職場への配慮やためらい等の理由からその取得率が低調な状況にあり、その取得促進が課題となっていました。

こうしたことから、平成31年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させなければならないこととなっています。
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本日は、「労務管理に関する基本的知識」についてまとめました。


両立支援を進める上で労働関係法令や、事業場における就業継続可否の基本的考え方、就業制限、就業上の措置・配慮等の対応についてなぜ理解しておく必要があるのか?


それは労働者(患者)の必要な情報を医療機関から企業へと繋げていくことから企業での休暇制度や労働契約の取扱いといった労働関係法令の知識を持っているか否かで支援の幅が違ってくるからです。


その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、最適なサポートができるように学び続けます。
最後までお読みいただきありがとうございます。参考にしていただければ幸いです。

独立行政法人 労働者健康安全機構 
治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル
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独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料

両立支援コーディネーターとして必要な産業保健に関する基本的な知識②

こんにちは、作業療法士のtoshiです。

本日は、前回の続き「両立支援コーディネーターとして必要な産業保健に関する基本的な知識」についてまとめてみます。


前回のブログは↓になります。
mazu07.hatenablog.jp


今回は、以下の内容についてまとめてみます。
1)産業保健体制について
2)職場復帰の判断
3)事業場外資源による支援

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両立支援コーディネーターとして医療機関と企業との連携をする上で、「産業保健」の理解と連携がカギとなります。


その理由は、治療と仕事を両立したいのに、職場では、
◎病気の再燃再発、再休職、勤怠不良。
◎就業能力低下による業務上のトラブル、同僚へのしわよせ。
◎職場の人間関係悪化、モラルの低下。などが時々起きます。


ではなぜこのようなことが起きるのか?


それは、
医療機関は「早く復帰させたい」「職場は理解して欲しい」
企業は「配慮はするが限界があり仕事はして欲しい」

医療機関企業とでは重視する考え方が違うからです。
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1)産業保健体制について

〇産業保健活動に関わる人的資源は、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、医師(産業医)、保健師等、心理職、社会保険労務士、労働衛生コンサルタント、その他です。

ここでは主に産業医保健師等について述べます。
図3は、事業者を中心とした安全衛生管理体制の一例です。
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安全衛生管理は事業場単位で実施されています。(就業規則や職場復帰ルールは企業・団体で統一されています。)


産業医は従業員50名以上の事業場で選任義務があります(表1)
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50人未満の事業所では、労働者の健康管理の知識等を有する医師、保健師に健康管理の全部もしくは一部を行わせるよう努めねばならないとされています。(労衛法第13条の2、規則第15条の2)


労働者や業種によって選任すべき人数は異なりますが、支援者の事業所規模を確認し、産業医の存在の有無をまず確認するのが良いでしょう。


では、産業医はいったい何をする人」なのか?
産業医の職務は「5管理」総括管理、作業管理、作業環境管理、健康管理、労働衛生教育として整理されることが多いです。


つまり、実際に職場をみた上で、事業者が安全や衛生に関する体制づくりのための計画を策定し、労働者が働く環境を整え健康や労働災害防止についての教育を行い、健康診断や面接を通して適正配置を行うよう、意見を述べ必要に応じて勧告する(図4)など多岐にわたっています。また事業主が安全配慮義務違反とならないように、その活動を支援することも重要な職務となります。
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産業医と主治医(臨床医)とでは、どのような違いがあるのか?


表2に産業医と主治医の違いを、「サービス対象」、「所属」、「目的」、「業務」、「立場」別にまとめました。
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対労働者/事業者と対患者という大きな違いをベースに、予防・増悪防止のための措置と疾病の治療という大きな違いが見てとれます。


保健師等」健康診断の運営や保健指導、医療の判断のできる産業保健スタッフの一員として、個人と組織の支援を行っています。

 産業医が非常勤で保健師等が不在の場合、衛生管理者が職場環境の整備や健康相談の役割を主として担っていることもあります。

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、その事業場専属の衛生管理者を選任しています。

10人以上50人未満の事業場では、安全衛生推進者または衛生推進者選任されています。


 産業保健体制について述べましたが、従業員数50人未満の小規模事業場には産業医の選任義務がなく、産業保健スタッフもいないことが多く、地域産業保健センター(産業保健総合支援センターの地域窓口)の両立支援コーディネーターが、医師の指導のもと、就業配慮の内容、医療機関の用語をよりわかりやすく「翻訳」する必要性が高まることが想定されます。小規模事業場に対しては、地域産業保健センターを紹介するのも良いでしょう。


なお、従業員数50人以上の企業に勤務する人の数と、従業員数50人未満の小規模事業場に勤務する人の数は図6に示すとおりで小規模事業場に勤務する人は日本の労働人口約60%を占めます(平成28年経済センサス−活動調査から編集)。
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2)職場復帰の判断


 両立支援コーディネーターと産業保健スタッフが一番関わるであろう場面は、労働者が職場復帰する場面ではないでしょうか。


産業医保健師等が在籍している職場であれば、両立支援コーディネーターの良き理解者となって協力してくれることが見込まれます。
 

職場復帰の判断は、
産業医等の意見をもとに、事業主が決定しますが、

産業医がいない場合は、主治医の意見をもとに事業主が決定します。


産業保健スタッフが十分に機能していない場合は、両立支援コーディネーターが主治医の意見を、専門家でない担当者にわかりやすく伝える必要があります。


 主治医側も、職場の状況がわからない中、患者(支援対象者)から「短時間勤務なら可」や「配置転換が望ましい」と診断書に書いてください、と依頼され困惑することもあります。その場合は、なぜ記載が必要か、両立支援コーディネーターが間に入り説明をする必要があります。
 

一般的には、主治医は症状が改善すれば「職場復帰可能」と判断しますが、実際の業務遂行能力と症状の改善にはギャップがあることが多くあります。

症状改善だけでなく、支援対象者がどのような作業をしていて、どのような能力が必要かを主治医に伝えると良いでしょう。元の職場に戻ることが難しい場合は、どのような作業内容であれば職場復帰可能か、職場との調整が必要となるでしょう。


職場復帰に際して最低限必要なものとしては、

生活リズムが整っていること
安全に通勤ができること
就労により症状悪化の可能性が高くないこと
などが挙げられます。
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3) 事業場外資源による支援


 独立行政法人労働者健康安全機構では、産業医保健師等、衛生管理者等の産業保健関係者を支援するとともに、事業主等に対し職場の健康管理への啓発を行うことを目的として、全国47の都道府県に産業保健総合支援センターを設置しています。

その活動の一つとして、

産業保健に関する様々な問題について、専門スタッフが実地、または、センターの窓口(予約)、電話、電子メール等で相談に応じ、解決方法を助言しています。また、50人未満の小規模事業場に対する支援は、地域産業保健センターが窓口となっており、個別訪問による産業保健指導や健康相談を行っています。両立支援コーディネーターの支援より事業場外資源活用のほうが望ましいと思われる際には、これらの機関を紹介することが良いでしょう。


本日は、「両立支援コーディネーターとして必要な産業保健に関する基本的な知識」についてまとめてみました。


両立支援コーディネーターとして医療機関と企業との連携をする上で、医療機関企業とでは重視する考え方が違うから職場における両立支援として、「産業保健」の理解と連携がカギとなります。


その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、最適なサポートができるように学び続けます。
最後までお読みいただきありがとうございます。参考にしていただければ幸いです。



【 参考文献 】
森晃爾 編『産業保健マニュアル』(南山堂)
中央労働災害防止協会 編『労働衛生のしおり』(中央労働災害防止協会
産業医の職務Q&A編集委員会 編『産業医の職務Q&A』(産業医学振興財団

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治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル
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両立支援コーディネーターとして必要な産業保健に関する基本的な知識① 

こんにちは、作業療法士のtoshiです。

本日は、両立支援コーディネーターとして必要な産業保健に関する基本的な知識についてまとめてみます。


1)産業保健の知識がなぜ必要か?
2)産業保健の課題は?
3)産業保健の目的は?

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1)産業保健の知識がなぜ必要か?


両立支援コーディネーターとして医療機関と企業との連携をする上で、「産業保健」の理解と連携がカギとなるからです。


その理由は、

治療と仕事を両立したいのに、職場では、
◎病気の再燃再発、再休職、勤怠不良。
◎就業能力低下による業務上のトラブル、
 同僚へのしわよせ。
◎職場の人間関係悪化、モラルの低下。
などが時々起きます。


ではなぜこのようなことが起きるのか?


それは、
医療機関は「早く復帰させたい」「職場は理解して欲しい」
企業は「配慮はするが限界があり仕事はして欲しい」

医療機関企業とでは重視する考え方が違うからです。


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2)産業保健の課題は?


業務上疾病者数の推移(平成27年)について以下のグラフを参照してください。
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これをみますと全体的に減少傾向に見えますが、平成30年の結果では
業務上疾病全体8684人↑、負傷に起因する疾病5937人↑
物理的因子に起因する疾病1437人↑、作業様態に起因する疾病457人↑
じん肺及びじん肺合併症165人↓じん肺及びじん肺合併症以外は増加傾向にあり
職業性疾病予防は産業保健の重要な課題と言えます。


次に一般定期健康診断結果の有所見率の推移について以下のグラフを参照してください。
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定期健康診断における有所見率は年々、増加傾向にあり、過労死等につながる所見を有する労働者も増加傾向にあります。


次に精神障害等の労災認定状況について以下のグラフを参照してください。
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年々、精神障害の請求、決定及び支給決定件数は増加傾向にあり
メンタルヘルス対策の一層の推進が求められています。


長時間労働による健康障害の状況について
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働き方改革とともに産業保健機能の強化が求められています。


疾病を抱える労働者の状況

疾病を理由に1か月以上休業している従業員がいる企業の割合。 
がん21%脳血管疾患12%
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・仕事をもちながらがんで通院している人の数は32.5万人(平成22年)
 →平成28年調査では36.5万人増加しています。
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疾病を抱える労働者の就業可能性の向上
 
・治療技術の進歩により、かつては「不治の病」とされていた疾病においても生存率が向上し、「長く付き合う病気」に変化してきています。


多様な労働者が安全、健康、快適に働ける環境づくりが求められています。
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3)産業保健の目的は?


労働安全衛生法の概要

目的は第1条に記載されています。
この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とするとしています。
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労働者が安全に、健康に働ける職場を築いていくことがその目的です。けがや病気に対応するというよりは、仕事によるけがや病気にならないような環境を整備することが主目的といえます。


産業保健活動の目的

1,労働者と事業者を守る
  法令順守、安全配慮義務リスク管理
  →仕事で健康を損なわないようにする。

2,生産性向上に資する
  健康経営、福利厚生
  →健康状態を整え、快適により良く仕事ができるようにする。

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本日は、両立支援コーディネーターとして必要な産業保健に関する基本的な知識についてまとめてみました。


両立支援コーディネーターとして医療機関と企業との連携をする上で、医療機関企業とでは重視する考え方が違うから職場における両立支援として、「産業保健」の理解と連携がカギとなります。


その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、最適なサポートができるように学び続けます。
最後までお読みいただきありがとうございます。参考にしていただければ幸いです。


厚生労働省 「業務上疾病発生状況等調査」 「過労死等の労災補償状況」
www.mhlw.go.jp

独立行政法人 労働者健康安全機構 
治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル
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独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料

両立支援コーディネーターに求められる基本的な能力と知識(コミュニケーションスキル) 

こんにちは、作業療法士のtoshiです。


本日は、
「両立支援コーディネーターに求められる基本的な能力と知識(コミュニケーションスキル)」についてまとめてみます。
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1,なぜコミュニケーションスキルが必要か?
2,留意点は?
3,まとめ

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1,なぜコミュニケーションスキルが必要か?

両立支援コーディネーターに求められる基本的な能力と知識としてコミュニケーションは支援の基本だからです。

なぜなら

人と関わる力がなければ、より良い支援を行うことが難しいからです。
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2,留意点は?

1,マナーを守る。
→対等な目線を意識する。

支援する、支援される側という意識が生まれやすいが、目の前にいる人は「助けの必要なかわいそうな人ではなく対等な目線を意識する」必要があります。

友人関係を築くのではなくコーディネーターするに当たっての信頼関係を築くためのコミュニケーションなので、一定の距離を保ち、礼儀を守り、敬意を持って接する。清潔感のある身だしなみにも心掛けるようにしましょう。


2、面接の構造化
→面接に枠組みを設ける。

両立支援の目的(何を目指し、両立支援を行うのか等)と1回の面談ごとの目標(何を話題にするのか等)の2つの視点を持って面接に臨むことで、面接を有効に行うことができると考えられます。


例)
・目的の明確化:「この面談は治療と仕事を両立するために…」と伝えることで問題以外に深入りすることを防ぐ。

・役割の明確化:両立支援コーディネーターとしてどのような支援を行えるか等を説明することで、支援対象者に過度な期待をさせたり、支援者側が深追いしたりするのを防ぐ。

・面接場所:プライバシーが守られる場を用意し、支援対象者が安心して話せる場を提供する。

・時間の明確化:「今日は30分程度お時間をいただきたいと思っています」と時間の目安を伝える。

・場の設定:座る位置によって、扱う話題や面接の雰囲気が変化する。

座る位置
①対面型‐視線が合いきちんとした話。
②90度型‐悩み事等も話しやすい。
③平行型‐打ち解けた砕けた会話。

3,コミュニケーションのABC
→「A」Ask;質問
 「B」Be with the patient;ラポール形成
 「C」Clinical Questions;臨床的な質問
   
  Ask質問
 「どうしましたか?‐開かれた質問」
  応答;情報提供
   ↓
  Be with the patientラポール形成
  「~なんですね。‐共感的な言いきり」
  応答;そうなんです 
  ↓
  Clinical Questions臨床的な質問
  「~なのでしょうか?~しましょうか?」
  応答;具体的なアイディアが出てくる

4,非言語コミュニケーションに気を配る
→言語外の情報に気を配る。

ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)は表情や声の大きさ、抑揚、視線、ジェスチャー、身だしなみ等の言語外の情報すべてを指します。このノンバーバルコミュニケーションにも気を付ける必要があります。


5,疾病受容への心理的変化
→クライエントの心理的なプロセスにも配慮する。

病名告知を受けた時点から、様々な心理プロセスを辿ります。

第1段階:病名告知による衝撃、ショック
現実を受け止められず、パニックや不安、無気力状態に陥る。

第2段階:防衛的対抗(否認・逃避)
現実を否定することで、心の安定を図ろうとする。

第3段階:承認
現実に直面していくことで、新たな衝撃を受ける。次第に現実と自己に向き合い始める。

第4段階:適応
徐々に今できることに目を向けることができるようになり、現実に対処し始めたり、将来への計画性を持てることになったりする。

支援にあたっては以上のプロセスを理解しておくことは、支援対象者のアセスメントに役立ちます。


6,面接の振り返り
→面接を振り返る。

面接を行っていく中で、うまくいかないと感じる時があるかもしれません。面接がうまくいかない時には、一旦自分自身を振り返る必要があります。面接には面接者の体調をはじめ様々な要因が関連していきます。また、共感を示す態度や言葉を返していたか、振り返ってみる必要があります。
また、自分自身だけでなく対象者側に要因がある場合もあります。一人で抱えず同僚や上司にアドバイスを求めるのも大切となります。
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3,まとめ

本日は、
「両立支援コーディネーターに求められる基本的な能力と知識(コミュニケーションスキル)」についてまとめてみました。


両立支援コーディネーターに求められる基本的な能力と知識としてコミュニケーションは支援の基本だからです。

なぜなら

人と関わる力がなければ、より良い支援を行うことが難しいからです。


その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、
最適なサポートができるように学び続けます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。



≪参考文献≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル
労働者健康安全機構「治療と就労の両立支援マニュアル」

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト

両立支援コーディネーターに求められる医療知識(メンタルヘルス分野)

こんにちは、作業療法士のtoshiです。


本日は、
「両立支援コーディネーターに求められる医療知識(メンタルヘルス分野)」
についてまとめてみます。



両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となります。


その理由は、
典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するため

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳)は両立支援の基本となるからです。


1,精神疾患の定義と診断
2,疾患と治療
3,両立支援のポイント

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1,精神疾患の定義と診断

精神疾患の定義

精神疾患とは、精神機能の基盤となる心理学的、生物学的、または発達過程の機能障害によってもたらされた、個人の認知、情動制御または行動における臨床的に意味のある障害によって特徴づけられる症候群」である。

精神疾患は通常、社会的、職業的、また他の重要な活動における著しい苦痛または機能低下と関連する。よくあるストレス因や喪失、例えば愛するものとの死別に対する予測可能な、もしくは文化的に許された反応は精神疾患ではない
社会的に逸脱した行動や主として個人と社会との問の葛藤も上記のようにその逸脱や葛藤が個人の機能障害の結果でなければ精神疾患ではない」とされています。


つまり、


不安や気分の落ち込みなどが、その人が普段感じているよりも強く、長引いて、生活に支障をきたしてしまった状態。異常に疲れやすくなったり、眠れなかったり、元々熱中していたことにも興味を失ったりと「普段の自分とは違う」場合は精神疾患を疑います。 
DSM-5精神疾患の分類と手引きより


精神疾患の原因

・脳内の神経伝達物質ドーパミンセロトニンなど)のアンバランスによって、脳機能の低下や障害がおこると考えられており、「心の弱さ」が原因ではありません。

・複雑に要因が絡み合って発症するとされています。
 生物学的な要因(生まれつきの体質)、
 心理学的な要因(否定的に物事を捉える)、
 社会環境の要因(人間関係の問題や環境変化)など
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精神疾患を有する総患者数の推移(疾患別内訳)
 厚生労働省「患者調査2018年より」
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我が国では年々、増加傾向にあり、
精神疾患うつ病などの気分障害)の
 生涯有病率は、約25%とされます。

つまり、4人に1人以上一生に1回
何らかの精神疾患にかかる可能性がある

と言われています。


そして、

精神疾患再発することが多いとされています。



2,疾患と治療


代表的な疾患

うつ病

→なんとも形容しがたい気分の落ち込みや、
 興味があったことへの関心の低下、
 何をしても楽しくない、
 不眠、集中力の低下、食欲低下などが
 ほとんど毎日続く疾患です。


不安、無価値感、希死念慮、なども症状となりえます。
また、心疾患や脳血管疾患、がん、慢性的な痛み
など身体疾患にも併発します。


我が国の生涯有病率は6.5%と珍しい病気ではありませんが
欧米に比べれば低いです。


一般的に女性、若年者に多いとされますが、
日本では中高年でも頻度が高く
うつ病に対する社会経済的影響が大きい
とされています。


②双極性感情障害

→自分は何でもできるような気分の高揚感がある。
 怒りっぽくなる。
 活動量が増える。
 注意散漫になる。
 などの症状が出現する躁状態

 衝動的な買い物をして、多額の借金を抱えることもあります。周りの人はその変化に困惑しますが、本人は爽快な気分で困っていないことがあります。


以前は、躁うつ病と表現されることが多かったですが、
現在は双極性感情障害と表記されることが多いです。

我が国では0.7%くらいの割合でいると言われています。


パニック障害

→不安障害の中の一つであり、明らかなきっかけがなくてもパニック発作が繰り返し起こります。

パニック発作は、動悸、発汗、震え、息苦しさ、胸部の不快感などが数分以内にピークに達するものです。そして、それがまた起こったらどうしようと過度に心配になったり(予期不安)、発作を起こした時のきっかけだったと考えるものを避けたりする(広場恐怖)ようになります。

我が国では、何らかの不安障害を有するものの割合は
生涯有病率は9.2%(内訳 パニック障害は0.8%)でした。


精神疾患の治療

・薬物治療:脳内の伝達物質のバランスを整える薬剤を使用する。抗うつ薬気分安定薬睡眠薬抗不安薬抗精神病薬など
副作用として、眠気、ふらつき、食欲亢進などが認めれることがあります。寛解状態後も再発防止のため、良くなってもすぐに薬物を中止せずに一定期間は内服を続ける必要があります。薬剤を自己中断する人も少ないため、注意が必要となります。

・精神療法:認知行動療法精神分析療法、集団精神療法など

・その他:修正型電気けいれん療法などがあります。

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3,両立支援のポイント

◎内服薬
→種類によって眠気、血糖値上昇、食欲増進、落ち着きなさなど種々の症状が副作用として現れることがあるので注意します。疾病の増悪したものかどうか判断が困難なものもありますが、気になる場合は主治医に相談するように勧めましょう。


◎診断書
→診断書を発行する際に、診断名を明記するのが難しいこと。確定診断にはある程度時間を要することにも注意が必要になります。

 また暫定的に状態像を記載することがあり、会社に提出する診断書にも暫定的な診断名が記載されている可能性もあるため主治医から情報を得る際には注意する必要があります。



◎運転業務
→投薬されている薬剤によっては添付文書に「運転禁止」と記載されているかを確かめます。また主治医に相談するなど事前に情報収集をしておく必要があります。

運転禁止薬剤が必要であれば、運転業務を要さない業務へと配置転換を考慮してもらうなど対策を考える必要があります。



病名が何か?よりもこの人が治療と就労を両立させることに当たっての問題点は何か?職場では何が問題か?ということを念頭において支援を行うことが大切になります。
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本日は、
両立支援コーディネーターに求められる医療知識(メンタルヘルス分野)
についてまとめてみました。


両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となる理由は、

典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するためです。

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳両立支援の基本となるからです。

その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、
最適なサポートができるように学び続けます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。



≪参考図書≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト
www.johas.go.jp
精神疾患を有する総患者数の推移(疾患別内訳)
 厚生労働省「患者調査2018年」
DSM-5精神疾患の分類と手引き

≪参考文献≫
・日本うつ病学会監修「うつ病治療ガイドライン」(医学書院)
厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータブルサイト
「こころの耳」http://kokoro.mhlw.go.jp/
・川上憲人 世界のうつ病、日本のうつ病-疫学研究の現在。
医学のあゆみ 219(13)925-929、2006

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両立支援コーディネーターに求められる医療知識(脳卒中分野)

こんにちは、作業療法士のtoshiです。


本日は、「両立支援コーディネーターに求められる医療知識(脳卒中分野)」についてまとめてみます。



両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となります。


その理由は、
典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するため

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳)は両立支援の基本となるからです。


1,脳卒中とは
2,治療と経過
3,両立支援の留意点

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1,脳卒中とは


1)病理

脳卒中とは、「脳に突然(卒)あたる(中)」という意味で、
脳血管疾患ともいわれています。


病型は大きく3つに分けられます。
・脳血管が詰まる→脳梗塞
・脳血管が破れる→頭出血。
・脳血管のコブ(脳動脈瘤)→クモ膜下出血
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2)疫学

脳卒中は昔に比べて死因順位は下がっているが、患者数は多い。
厚生労働省平成26年患者調査」によると117.9万人(男性59.2万人女性58.7万人)と推計され、そのうち約14%(16.7万人)が就労世代(15~64歳)に相当します。

基本的に動脈硬化が進行する50歳代以降に急増する疾患であり、今後就労年齢の引き上げに伴い、両立支援の対象者が増加することが予想されています。


日本脳卒中データバンク(2019年度)によると、病型別に見た患者割合は脳梗塞が最も多く75.9%を占め、次いで脳出血18.5%、クモ膜下出血5.6%という頻度となっています。
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3)症状


典型的なものは、突然起こる以下の3症状です。
①片方の手足・顔面半分の麻痺や痺れ。
②呂律が回らない、言葉が出ない、
 他人の言ったことが理解できない。
③片方の目が見えない、物が二重に見える、視野半分が欠ける。

これに加えて脳卒中を考えるべき症状としては、

④力はあるのに歩けない、フラつく。
⑤今までにない激しい頭痛。
意識障害
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このような症状があれば病院受診をすべきで、救急車の利用もためらうべきではありません。


脳卒中という病名でも症状は様々で原因となった病態の違いにより脳のどの部位がどの程度損傷されたかで決定します。




2,治療と経過

治療
脳梗塞では発症から4.5時間以内であればt-PA静注療法(点滴)で血栓溶解薬を投与する治療
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6時間以内に血管内カテーテル治療(血管内にカテーテルを入れて血栓回収する血管内治療)の適応がある場合もあります。
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脳出血で脳内に出血した血液の塊が大きい場合、周囲の脳組織が圧迫され壊死することを防ぐために手術で血腫を取り除く場合があります。 


→開頭血腫除去術
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内視鏡下血腫吸引術
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クモ膜下出血では、破裂脳動脈瘤を手術で
直接的にクリップする方法

クリッピング
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血管内カテーテルで脳動脈瘤内に
特殊な金属コイルを詰める方法

→コイル塞栓術
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などで治療される場合が多い。


いずれの病型でも治療でもなるべく早い時期からリハビリテーションを併せて行うことが推奨されており、状態が落ち着くに従って活動量も増加していきます。


経過
軽症の場合は急性期治療を終えて直接自宅退院する場合がありますが、多くは回復期リハビリテーション病院へ転院します。

そして、この転院には期限が定められており回復期リハビリテーション病院へは発症から2か月以内6か月までに退院しなければなりません。


*入院期間が6か月までとされている根拠としては、脳卒中後の運動麻痺などの回復が6か月を経過すると機能改善が難しいというデータがあります。


しかし、


高次脳機能については年単位で改善が認められるという報告もあり、継続的なリハビリテーションが必要な患者にとっては制度上の支障となっています。
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いずれにせよ回復期退院後も医療リハビリテーションを受けるためには制限があり、重症者にとっては十分なリハビリテーションを受けることが難しくなり、介護保険を利用するなどの工夫が必要となります。


さらに、


急性期・回復期・生活期という各時期を担う医療機関が同一地域にないことも多く、リハビリテーション資源が不十分な地域も多いのが実情です。


また、


転院することで主治医や医療スタッフも複数の医療機関が関与することになり、情報共有の難しさも生じます。


脳卒中の薬物治療はその基礎疾患である。高血圧、不整脈、糖尿病、脂質異常症などのコントロールが基本となります。

脳出血クモ膜下出血ではこれら以外に特異的な再発予防薬はありませんが、


脳梗塞は、病型によって予防薬があります。
抗血小板凝集薬、抗凝固薬、抗けいれん薬などが必要になる場合があります。


予後

脳卒中という一般には麻痺や言語障害などの重度障害が残存するイメージが強いですが、就労年齢における予後は比較的良好であり、約7割が日常生活上ほぼ介助を必要としない状態まで回復しています。
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3,両立支援の留意点

1)障害に対する理解
脳卒中後の障害については、「目に見える障がい」「目に見えない障がい」があります。大きく分けて以下の3つのパターンがあります。

①手足の運動麻痺のように本人も周囲も分かる障害。
②感覚障害のように自覚はあるが周囲には分かりにくい障害。
認知障害のように周囲が何となく気づいているが理解し難く、
 かつ本人の自覚が乏しい障がい(高次脳機能障がい)。


②③は見落とさないように注意が必要です。
特に高次脳機能障害は症状が様々で周囲も理解しにくい場合があるので、本人や医療機関からの情報収集を行い、個人情報に十分留意しながら職場で共有することが望まれます。また、身体障害者手帳(肢体不自由)、精神障害者保健福祉手帳(高次脳機能障害)が社会参加に有用な場合があり手帳申請の検討もしておくべきでしょう。


2)医療機関での情報共有
病状と障害とを把握するためには、主治医や病棟看護師およびリハビリテーションスタッフなどの多職種と連携して情報収集を行い、本人からの情報と合わせて整理しておく必要があります。

治療内容やリハビリテーション内容、予後の見通し、補助具のこと等、支援する上でも復職診断書等も必要となります。


3)安全な通勤のための配慮
杖や車椅子を使用している場合、ラッシュ時の通勤は非常に困難を伴います。出退勤時間をずらすことや公共交通機関利用の通勤が実際に可能かどうかのチェック、エレベーター使用も考慮した通勤経路の見直しなどの支援も必要です。

特に都市部以外では自動車運転が必要な場合も多く、その際の自動車運転再開の手順も必要な支援の一つとなります。自動車運転再開の可否について、神経心理学的検査や実車評価が必要となります。またてんかん発作があった場合には、発作がない期間が2年間必要となるので再開時には注意を要します。


4)職場での配慮
職場における環境整備、作業内容の見直し、業務量の調整などは耐久性や適応能力を確認しながら行っていくという点で各疾患共通と思われますが、

脳卒中で特異的な点をいくつか挙げておきます。ふらつきがある場合は高所作業や移動しながらの作業などでは転倒・転落などの状況下で低温火傷も起こし得ます。

高次脳機能障害では見落とし手順を忘れるなどのトラブルが起こり得ます。

適切な配慮を行うためには、患者の機能評価と職場状況の把握がカギとなりますので、職業情報収集票と復職判断を行う時期での機能評価票の精度を高めておくことが重要です。

両立支援コーディネーターは患者本人とのやり取りだけでなく、是非ともリハビリテーション専門職との連携を深める必要があります。


また、


これらのサポートを職場の誰かに任せるとその人の業務が過度となる場合が多いため、支援側にも配慮が必要であることを職場に理解してもらうことが重要です。もちろん個人情報に関わることなので、本人ともよく話し合った上で可能な範囲で職場内の情報共有が出来ることが望ましい。


5)過度の配慮にも注意
周囲が気を使うあまりに、障がいに対する配慮が過剰となることも経験されます。もちろん無理を押して麻痺側を酷使すれば関節や筋肉を痛めてしまいます(過用症候群)。逆に人は自身の能力を使わないことで退化します。本人の能力を見ながら出来ることを伸ばしていき、ステップアップに繋がればモチベーションも高くなります。そのためには、職場の上司との意見交換ができる環境づくりが重要となることを職場に伝えておくべきです。
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本日は、両立支援コーディネーターに求められる医療知識(脳卒中分野)についてまとめてみました。


両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となる理由は、

典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するためです。

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳両立支援の基本となるからです。

その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、
最適なサポートができるように学び続けます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。



≪参考図書≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト
www.johas.go.jp
www.research.johas.go.jp
脳卒中データバンク2019
http://strokedatabank.ncvc.go.jp/
・一般社団法人 日本脳卒中学会
www.jsts.gr.jp


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