作業療法士toshiの就労支援

作業療法士であるtoshiが就労支援についての情報を定期的に発信します。

両立支援コーディネーターに求められる医療知識(メンタルヘルス分野)

こんにちは、作業療法士のtoshiです。


本日は、
「両立支援コーディネーターに求められる医療知識(メンタルヘルス分野)」
についてまとめてみます。



両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となります。


その理由は、
典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するため

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳)は両立支援の基本となるからです。


1,精神疾患の定義と診断
2,疾患と治療
3,両立支援のポイント

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1,精神疾患の定義と診断

精神疾患の定義

精神疾患とは、精神機能の基盤となる心理学的、生物学的、または発達過程の機能障害によってもたらされた、個人の認知、情動制御または行動における臨床的に意味のある障害によって特徴づけられる症候群」である。

精神疾患は通常、社会的、職業的、また他の重要な活動における著しい苦痛または機能低下と関連する。よくあるストレス因や喪失、例えば愛するものとの死別に対する予測可能な、もしくは文化的に許された反応は精神疾患ではない
社会的に逸脱した行動や主として個人と社会との問の葛藤も上記のようにその逸脱や葛藤が個人の機能障害の結果でなければ精神疾患ではない」とされています。


つまり、


不安や気分の落ち込みなどが、その人が普段感じているよりも強く、長引いて、生活に支障をきたしてしまった状態。異常に疲れやすくなったり、眠れなかったり、元々熱中していたことにも興味を失ったりと「普段の自分とは違う」場合は精神疾患を疑います。 
DSM-5精神疾患の分類と手引きより


精神疾患の原因

・脳内の神経伝達物質ドーパミンセロトニンなど)のアンバランスによって、脳機能の低下や障害がおこると考えられており、「心の弱さ」が原因ではありません。

・複雑に要因が絡み合って発症するとされています。
 生物学的な要因(生まれつきの体質)、
 心理学的な要因(否定的に物事を捉える)、
 社会環境の要因(人間関係の問題や環境変化)など
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精神疾患を有する総患者数の推移(疾患別内訳)
 厚生労働省「患者調査2018年より」
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我が国では年々、増加傾向にあり、
精神疾患うつ病などの気分障害)の
 生涯有病率は、約25%とされます。

つまり、4人に1人以上一生に1回
何らかの精神疾患にかかる可能性がある

と言われています。


そして、

精神疾患再発することが多いとされています。



2,疾患と治療


代表的な疾患

うつ病

→なんとも形容しがたい気分の落ち込みや、
 興味があったことへの関心の低下、
 何をしても楽しくない、
 不眠、集中力の低下、食欲低下などが
 ほとんど毎日続く疾患です。


不安、無価値感、希死念慮、なども症状となりえます。
また、心疾患や脳血管疾患、がん、慢性的な痛み
など身体疾患にも併発します。


我が国の生涯有病率は6.5%と珍しい病気ではありませんが
欧米に比べれば低いです。


一般的に女性、若年者に多いとされますが、
日本では中高年でも頻度が高く
うつ病に対する社会経済的影響が大きい
とされています。


②双極性感情障害

→自分は何でもできるような気分の高揚感がある。
 怒りっぽくなる。
 活動量が増える。
 注意散漫になる。
 などの症状が出現する躁状態

 衝動的な買い物をして、多額の借金を抱えることもあります。周りの人はその変化に困惑しますが、本人は爽快な気分で困っていないことがあります。


以前は、躁うつ病と表現されることが多かったですが、
現在は双極性感情障害と表記されることが多いです。

我が国では0.7%くらいの割合でいると言われています。


パニック障害

→不安障害の中の一つであり、明らかなきっかけがなくてもパニック発作が繰り返し起こります。

パニック発作は、動悸、発汗、震え、息苦しさ、胸部の不快感などが数分以内にピークに達するものです。そして、それがまた起こったらどうしようと過度に心配になったり(予期不安)、発作を起こした時のきっかけだったと考えるものを避けたりする(広場恐怖)ようになります。

我が国では、何らかの不安障害を有するものの割合は
生涯有病率は9.2%(内訳 パニック障害は0.8%)でした。


精神疾患の治療

・薬物治療:脳内の伝達物質のバランスを整える薬剤を使用する。抗うつ薬気分安定薬睡眠薬抗不安薬抗精神病薬など
副作用として、眠気、ふらつき、食欲亢進などが認めれることがあります。寛解状態後も再発防止のため、良くなってもすぐに薬物を中止せずに一定期間は内服を続ける必要があります。薬剤を自己中断する人も少ないため、注意が必要となります。

・精神療法:認知行動療法精神分析療法、集団精神療法など

・その他:修正型電気けいれん療法などがあります。

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3,両立支援のポイント

◎内服薬
→種類によって眠気、血糖値上昇、食欲増進、落ち着きなさなど種々の症状が副作用として現れることがあるので注意します。疾病の増悪したものかどうか判断が困難なものもありますが、気になる場合は主治医に相談するように勧めましょう。


◎診断書
→診断書を発行する際に、診断名を明記するのが難しいこと。確定診断にはある程度時間を要することにも注意が必要になります。

 また暫定的に状態像を記載することがあり、会社に提出する診断書にも暫定的な診断名が記載されている可能性もあるため主治医から情報を得る際には注意する必要があります。



◎運転業務
→投薬されている薬剤によっては添付文書に「運転禁止」と記載されているかを確かめます。また主治医に相談するなど事前に情報収集をしておく必要があります。

運転禁止薬剤が必要であれば、運転業務を要さない業務へと配置転換を考慮してもらうなど対策を考える必要があります。



病名が何か?よりもこの人が治療と就労を両立させることに当たっての問題点は何か?職場では何が問題か?ということを念頭において支援を行うことが大切になります。
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本日は、
両立支援コーディネーターに求められる医療知識(メンタルヘルス分野)
についてまとめてみました。


両立支援を行う上で、基本的な医療知識が必要となる理由は、

典型的な疾病や治療に関して、その特徴、経過および就業に当たって影響するためです。

また、

疾病のみならず障がいに関する理解(回復過程、障害者手帳両立支援の基本となるからです。

その人がその人らしく、よりよく生活していけるように、
最適なサポートができるように学び続けます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければ幸いです。



≪参考図書≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 
 治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル

≪参考資料≫
独立行政法人 労働者健康安全機構 基礎研修資料
独立行政法人 労働者健康安全機構 (JOHAS)
独立行政法人 労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究普及サイト
www.johas.go.jp
精神疾患を有する総患者数の推移(疾患別内訳)
 厚生労働省「患者調査2018年」
DSM-5精神疾患の分類と手引き

≪参考文献≫
・日本うつ病学会監修「うつ病治療ガイドライン」(医学書院)
厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータブルサイト
「こころの耳」http://kokoro.mhlw.go.jp/
・川上憲人 世界のうつ病、日本のうつ病-疫学研究の現在。
医学のあゆみ 219(13)925-929、2006

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